tana1026のブログ

心が和むようなブログに心がけたいと思います。

マツヨばあちゃんと座敷童子のお友だち<生活編6>No8



時は流れました。真夏のある日のことです。

かまどの横にある古井戸の中から声が聞こえると…。

花ちゃんとマチちゃんが、飛ぶように来ました。


マツヨばあちゃんが言うには、


「この古井戸は、ばあちゃんがお嫁に来た頃には水が枯れて、60年以上使っておらんよ」



不思議に思ったマツヨばあちゃん、古井戸のふたを開けてみると…。


そこには、なんと全身砂まみれのおばさんが座っていました。


童子のお友だちがみんなで呼びかけてみましたが、そのおばさんには霊界の声は聞こえるはずもありません。


マツヨばあちゃんは、ひもをたらして、「ヨイショ!ヨイショ!全身の力をふりしぼるように、そのおばさんを引き上げました」





どこから、どうやって来たのか?さっぱりわりません!


それに、大きなショックから名前さえも忘れてしまったようです…。


「ばあちゃん、このおばさん腹がへっているのか?

腹がグ~グ~なっておるぞ!」


「マチちゃんは気を利かせて、かまどで、おにぎりをこしらえてばあちゃんに渡しました。」


ばあちゃんのマチちゃんという声に、そのおばさんは顔色を変えました。


そのおばさんは言いました。


「驚いたようすで、マチ?…と」


何かを思い出したようです。


後になって分かったことですがマチという妹がいたことで、少しずつ思い出せたのでした。


______________


童子のお友だちは不思議に考えていました。


「ばあちゃん、なにゆえ、古井戸に見知らぬおばさんがいるのか?というレンちゃん!」


実は、レンちゃんはマツヨばあちゃんのおうちに来る前に、ある古い農家の古井戸にたどり着いたことがあったそうな…」


すると、あの古井戸にいたおばさんがすっかり思い出すことができたのでした。


「私はね、東京に住んでいて

イライラでドアをけとばしたら、急に吸い込まれた。

気づくとここにいたのよ」





「東の京?というマツヨばあちゃん、京の都は知るが東の京など聞いたことがないと…」


マツヨばあちゃんや童子のお友だちがいる時代は、江戸の慶応年間で、江戸が東京になるのはしばらく先になりました。


そのおばさんは、

「東京を知らない人は聞いたことないし、今、日本中がコロナ感染症で大変なのよ」



どうやら、時空を超えて過去の時代にタイムスリップしてしまったのでした。


続く

マツヨばあちゃんと座敷童子のお友だち<生活編5>No7




マツヨばあちゃんと座敷童子のお友だちは、生きても、死んでも何も変わらないことが分かりました。





鏡に映るように…そのまんま同じでした。


変わったこと言えば、ばあちゃんも童子のお友だち、みんなが明るく幸せになれたこと…。


「ばあちゃん、オレたちは天国暮らしだ!まんまも腹いっぱい食えてな」


「マツヨばあちゃんは言いました。今の天国暮らしは…ね。天の神様が与えて下さったものよ。

ばあちゃんも頑張るけれど、童子のお友だち、みんなも頑張りましょうね!

心のお勉強をして、良い座敷童子のお友だちになってくださいな。」


「ミドリちゃんは、ワァ~と泣き出しました。」


あまりにも優しいマツヨばあちゃんに泣いてしまったのです。





ミドリちゃんは、会津藩の家老の家に生まれ、それは、それは厳しく育てられて地獄絵図が描けるような…。


「童子になって名を変えるほど、自分が嫌と言うミドリちゃん…」


人と人の縁は不思議なものと考えていたマツヨばあちゃんでした。


マツヨばあちゃんは、この幸せがずっと続いてほしいと願いつつも、いずれは、あの童子のお友だちとの別れは遠くはない…と


再び、春風に乗って去っていくのであろうと…。

マツヨばあちゃんと座敷童子のお友だち<生活編4>No6




座敷童子のお友だちの大好きな春祭りもすんで、いよいよ梅雨の季節になりました。


村人は田植えに、猫の手を借りたいほどの忙しさ…


マツヨ農園は梅の収穫を迎え、花ちゃんとレンちゃんは梅の木の下を駆け回っていました。






「ばあちゃん、梅はな、腹下しにいいんだ。」


知恵袋の花ちゃんに、童子のお友だちもビックリ!!


畑係の農家のカエデちゃんは、おしゃべり花ちゃんとは対照的に一人、黙々と畑の草取りに精を出していました。


山形の貧しい農家で、ととちゃんは厳しく、殴られたことで童子になってしまいました。


マツヨばあちゃんは、下向きに頑張るカエデちゃんが大好きでした。


「ジャガイモはすくすく育ち、収穫はもうすぐだ、みんな!ここに来て手伝ってくれ!」





農家のカエデちゃんだけあって野菜作りは慣れたもの、童子のみんなは、オロオロしながらも農作業に頑張りました。


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マツヨばあちゃんをはじめ、童子のお友だちも、一生懸命にマツヨ農園で働きました。


みんなのお腹はペコペコになっていました。




その時でした。サナエちゃんとミドリちゃんがお弁当を作って運んでくれました。

2人で朝からお弁当の準備をしてくれていたのです。


「おにぎりに卵焼き、竹の子にお漬物、大きな重箱にたくさん詰められていました」


「その重箱をみた花ちゃん、なかなかいい弁当だ!といつもの花ちゃん節が…。



顔中にまんまの米粒をつけた花ちゃんにレンちゃん、


「ほれ、ほれ、ゆっくり食べんさいとマツヨばあちゃん!」


「ばあちゃん、畑でみんなと食う弁当はいい味だ!」


「花ちゃん、花ちゃんはまんまになると、元気になるね、それに小さい身体なのによく食べる!

お口が元気なのはいいけれど…


もう少し、畑を頑張って下さいな。それに、心の掃除も忘れないでね!」


「ばあちゃん、オレ、ほうきを忘れた」


「花ちゃん、ふざけないの、罰が当たるわよ。心の掃除は心のお勉強のことなのよ!

花ちゃんなら、食い意地とおしゃべりをなおさないとね…。」



楽しい昼げのマツヨ農園中、みんなの笑い声が響き渡っていました。



続く