マツヨばあちゃんと座敷童子のお友だち<生活編6>No8
時は流れました。真夏のある日のことです。
かまどの横にある古井戸の中から声が聞こえると…。
花ちゃんとマチちゃんが、飛ぶように来ました。
マツヨばあちゃんが言うには、
「この古井戸は、ばあちゃんがお嫁に来た頃には水が枯れて、60年以上使っておらんよ」
不思議に思ったマツヨばあちゃん、古井戸のふたを開けてみると…。
そこには、なんと全身砂まみれのおばさんが座っていました。
童子のお友だちがみんなで呼びかけてみましたが、そのおばさんには霊界の声は聞こえるはずもありません。
マツヨばあちゃんは、ひもをたらして、「ヨイショ!ヨイショ!全身の力をふりしぼるように、そのおばさんを引き上げました」
どこから、どうやって来たのか?さっぱりわりません!
それに、大きなショックから名前さえも忘れてしまったようです…。
「ばあちゃん、このおばさん腹がへっているのか?
腹がグ~グ~なっておるぞ!」
「マチちゃんは気を利かせて、かまどで、おにぎりをこしらえてばあちゃんに渡しました。」
ばあちゃんのマチちゃんという声に、そのおばさんは顔色を変えました。
そのおばさんは言いました。
「驚いたようすで、マチ?…と」
何かを思い出したようです。
後になって分かったことですがマチという妹がいたことで、少しずつ思い出せたのでした。
______________
童子のお友だちは不思議に考えていました。
「ばあちゃん、なにゆえ、古井戸に見知らぬおばさんがいるのか?というレンちゃん!」
実は、レンちゃんはマツヨばあちゃんのおうちに来る前に、ある古い農家の古井戸にたどり着いたことがあったそうな…」
すると、あの古井戸にいたおばさんがすっかり思い出すことができたのでした。
「私はね、東京に住んでいて
イライラでドアをけとばしたら、急に吸い込まれた。
気づくとここにいたのよ」
「東の京?というマツヨばあちゃん、京の都は知るが東の京など聞いたことがないと…」
マツヨばあちゃんや童子のお友だちがいる時代は、江戸の慶応年間で、江戸が東京になるのはしばらく先になりました。
そのおばさんは、
「東京を知らない人は聞いたことないし、今、日本中がコロナ感染症で大変なのよ」
どうやら、時空を超えて過去の時代にタイムスリップしてしまったのでした。
続く
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